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日本時代建設の旧宿舎の記憶を絵本に 元居住者の「湾生」男性が再訪/台湾

2025/11/06 16:30
自身の幼少期の思い出を基にした絵本の発表会に出席した新元(にいもと)久さん(手前左)=11月5日、台北市(台湾文学館提供)
自身の幼少期の思い出を基にした絵本の発表会に出席した新元(にいもと)久さん(手前左)=11月5日、台北市(台湾文学館提供)

(台北中央社)日本統治時代に建設された旧文官宿舎を再利用した台北市の文化施設「台湾文学基地」で5日、幼少期に同所で暮らした日本人の新元(にいもと)久さんの思い出を基にした絵本の発表会が開かれた。新元さんも出席し、当時の思い出を語った。

新元さんは1931(昭和6)年、台湾で生まれた「湾生」。父が勤める南部・台南の明治製糖の工場近くにある社宅で生まれ育った。後に台北に移り住み、台北大空襲(45年5月)を経験した。終戦後の46年に南部・高雄から日本に引き揚げた。

新元さんは幼少期はサトウキビ畑と砂糖の香りの中で育ち、「甘い物が好きな子供だった」と振り返る。後に明治製菓に入社し、ロングセラーのチョコレート菓子「きのこの山」などを考案した。台湾での「甘い」経験が、食品会社に入る原動力になった。

絵本を出版したのは国立台湾文学館。華語(中国語)版の「掛蚊帳的夜晚」と台湾語版の「掛蠓罩的暗暝」を同時刊行した。絵と文は絵本作家のBALLBOSSが担当した。

台湾文学館は、絵本出版の意義は終戦前の台北の具体的なイメージを立体化させることにあるとし、汲み取り式便所や防空壕、鉄道旅館など、現代の人々が知らない台北を絵本で保存し、歴史的記憶を後世につなげていきたいとしている。

(邱祖胤/編集:名切千絵)

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幼少期に暮らした建物を背に笑顔の新元(にいもと)久さん=11月5日、台北市(台湾文学館提供)
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