(台北中央社)台湾で自主研究・開発した初のAI(人工知能)搭載犬型ロボットが29日、お披露目された。研究チームは年内にロボットに階段の昇降を習得させる計画で、その後は屋内での配膳や工場での巡回検査、災害救助などの場面での実証実験を行う予定だとしている。
犬型ロボットは台湾大学機械工学科の郭重顕教授率いる研究チームが開発。国家科学・技術委員会の支援を受けた。郭氏によれば、台湾に国産の犬型ロボットがなかったことに加え、伝統産業やサービス業を中心に台湾が深刻な人手不足に直面していることなどを背景に、研究チームは2年前に開発への着手を決めた。各産業がスマート化の波を迎えるのを支援する狙いがある。
ロボットは同大の英語名「National Taiwan University」の頭文字から「NTU DogBot」と名付けられた。この日お披露目されたのは、音声や表情の読み取りで制御可能な、家庭環境での使用に適しているペット型と、騒音や温度、気体などの工業用センサーを搭載し、工業検査や物品輸送などでの使用を想定した型の2種類。
実用化に向けた今後の開発については、郭氏は短期的には室内での使用が主となるとした上で、2025~27年には屋外で使用できる防水・防塵機能を備え、29年までには爆発の恐れがある環境でも使用できるレベルを達成できればと期待を見せた。
研究チームの資料によれば、NTU DogBotの販売価格は5万米ドル(約790万円)から。同チームは海外の製品と比べると安価であるものの、業者にとっては少なくない支出になるだろうとしている。郭氏は主にパーツやコンポーネントのコストが価格を左右しているとし、将来的には台湾の部品メーカーと特殊規格について相談し、コストを下げられればと話した。