(台北中央社)政府系研究機関、中央研究院は1日、米バイオ医薬品大手モデルナと覚書を締結した。双方の資源を合わせることで、遺伝物質「メッセンジャーRNA」(mRNA)技術の台湾内での発展や研究人材の育成を推進する。
覚書には主な協力の方向性として、mRNA開発プラットフォームの立ち上げ▽mRNA技術に関して先見性のあるテーマの選定と研究開発の加速▽研究グループにさらなる国際化の機会を提供―の3点が盛り込まれた。今後5年にわたり協力する。
中央研究院の唐堂副院長や同院バイオ医薬転移研究センター(生医転訳研究中心)の呉漢忠主任、モデルナジェノミクスの黄翊群総経理(社長)・最高科学責任者(CSO)、モデルナ台湾の李宜真総経理が共同で署名した。
唐氏はあいさつで、同院が2020年末に初のmRNAワクチン開発グループを組織し、mRNAの先導研究施設で初期の臨床試験に必要なワクチンを提供したことに触れ、同施設のフィールド実証が年末に完了し、来年から産業界や学術界の小規模な試験的量産を引き受ける予定だと紹介した。
李氏は、台湾はモデルナがインフルエンザワクチンの治験を実施するアジアで唯一の国になっているとし、同社がアジア太平洋地域の人材のインキュベーター(保育器)となり、次なる感染症の流行に備えられるよう期待を寄せた。
最初の具体的な共同事業として「mRNA先進イノベーション賞」を創設する。感染症やがん免疫など5つの分野を対象にし、優勝グループには研究賞金として50万台湾元(約230万円)が贈られる他、モデルナの科学者から1対1で指導を受ける機会が与えられる。