(基隆中央社)北部・基隆市の台湾鉄路(台鉄)基隆駅で17日午前、日本統治時代に設置された旧ホームの屋根の解体工事が行われたが、保存を求める鉄道ファンらから抗議の声が上がり、作業が中断された。同日午後に現地を訪れた謝国樑(しゃこくりょう)基隆市長は、台鉄や地元の歴史専門家らで公聴会や説明会を開いて意思疎通を行い、屋根を効果的に保存するよう求めた。
旧ホーム屋根は1908(明治41)年に設置された。長さは約30メートルあり、雨どいと一体になった柱には花の装飾が施されている。2022年に基隆で開催された都市博覧会では復刻した駅名標が設置され、写真撮影スポットになった。
この日は台鉄の委託を受けた業者が解体作業に着手すると、その様子を写した写真がインターネット上に広まり、多くの鉄道ファンが現場に駆け付け、記録のために写真撮影するなどした。
鉄道ファンの男性は、台鉄はでたらめなことをしていると不快感を表明。作業員から別の用途のために解体することになったと聞き、残念に思うと語った。
基隆市政府文化観光局の鄭鼎青副局長はホーム屋根について、11年に文化資産申請をしたものの、審査を通らなかったと説明。台鉄は今年7月に調査を行い、安全性に問題があるとして解体を決めていたが、具体的な解体の日時は通知がなかったとした。
台鉄は、構造がさびてもろくなり、安全性に懸念があったと説明。工事は中断し、今後基隆市など関係各所の意見を集め、適切に対応すると語った。