(東京中央社)日本統治時代に東京美術学校(現東京芸術大学)に留学した台湾出身の彫刻家、黄土水にスポットを当てた展覧会が6日、東京芸大大学美術館で始まった。同展では黄の代表作で昨年国宝に登録された「甘露水」が日本初展示される。5日に行われた開幕式には盛山正仁文部科学相の妻の路子さんが出席し、盛山氏から託された書簡を李遠(りえん)文化部長(文化相)に手渡した。
黄は1895年生まれ。1915年に台湾出身者初の留学生として東京美術学校に入学し、22年まで在籍した。30年に東京で病気で亡くなった。35歳だった。展覧会は「黄土水とその時代―台湾初の洋風彫刻家と20世紀初頭の東京美術学校」と銘打ち、黄の恩師である高村光雲をはじめ、1915~30年ごろに活躍した日本の彫刻家や洋画家の作品や、同校を卒業した陳澄波や顔水竜、李梅樹ら台湾出身の近代洋画家の作品を黄の作品と併せて展示する。
開幕式で李部長は、今回の訪日は「100年前の黄土水に付き添い、彼の作品を携えて彼の実家に帰ってきたようだ」と述べ、「この意義は非常に大きい」と喜びを示した。
甘露水は1919年に制作され、後に台湾に移されたが、約50年にわたって所在不明となっていた。2021年に文化部(文化省)に所蔵され、修復を経て再び人々の前に姿を現した。海外での展示は国宝登録後初となる。
来月20日まで。