(台北中央社)中国から金銭を受け取り、台湾で組織を発展させたとして中国ごまインストラクターの男ら10人が国家安全法違反の罪などに問われた事件の差し戻し審で、台湾台北地方法院(地裁)は30日、インストラクターの男に懲役10年6月の判決を言い渡した。
起訴状によると、男は2020年、中国ごまの公演の機会を求めて中国を訪れた際、中国の情報工作員に吸収された。その後、中国側の人物を通じて闇市場などを用いて中国の資金を少なくとも570万台湾元(約2800万円)余り受け取った。男は22年には台北市士林区で部屋を借りて組織の拠点とし、退役・現役軍人、海洋委員会海巡署(海上保安庁)隊員を取り込んだ。さらにこれらの軍人や海巡署隊員を通じ、飲食によるもてなしや金銭報酬を与えるなどして現役軍人の同僚や友人に接触し、組織に取り込んだ。軍人やその友人7人の取り込みに成功し、11人に対しては未遂に終わった。
台湾台北地方検察署(地検)は23年11月、インストラクターの男ら10人を国家安全法違反などで起訴した。台北地裁は男らが国家機密の探り出しや引き渡しに関与したとして、「管轄違い」判決を言い渡し、台湾高等法院(高裁)に審理を移していた。高裁は起訴の範囲は「組織の発展」に限定されているとし、判決を破棄して地裁に差し戻した。
台北地裁は差し戻し審で、インストラクターの男の他9人にも有罪判決を言い渡した。