(台北中央社)台湾で対中政策を担当する大陸委員会は25日、中国大陸の歌手、王以太さんが9月中旬に予定している台北でのコンサートについて、宣伝内容が規定に違反しており、関係省庁と討論した結果、「法律にのっとり、許可しない」との決定を下した。
一部メディアの報道によれば、コンサートの主催者が同委の許可を得る前にチケットの販売を開始した他、王さん自身が中国版インスタグラムと呼ばれる「RED」(小紅書)で台湾の地位を矮小化した「中国台北」の表現を使ってコンサートを宣伝していたという。中国歌手が台湾でコンサートを開催するに当たっては、事前に同委など関係省庁の許可を取得しなければならないと「台湾地区・大陸地区人民関係条例」で定められている。
同委は、政府として中国大陸の芸能人が台湾でパフォーマンスをしたり両岸(台湾と中国)が音楽作品を通じて切磋琢磨したりすることを歓迎するとの立場を説明。その上で「両岸の交流は対等と尊厳の原則に基づくべきで、台湾の地位を貶めるような発表や宣伝が行われる状況は許さない」と強調した。
王さんの台北公演開催可否を巡り、民進党の立法院党団(国会議員団)は26日、主催者側が台湾の法の支配のレッドラインに挑戦したとして同委の決定を支持する立場を示した。一方、国民党の立法院党団は、不許可の決定を「政治的行為」だとして反発し、消費者の権益を守るよう呼びかけた。