(桃園空港中央社)馬英九(ばえいきゅう)前総統は27日、中国に向けて出発した。桃園国際空港で談話を発表し、訪中の実現まで長く待ったと語り、「非常にうれしい」と喜びを示した。馬氏が中国を訪れるのは初となる。
総統経験者の中国訪問は初めてで、来月7日まで滞在する。馬氏は先祖の墓参りのための訪中だとしている。台湾の大学生が同行しており、中国の学生と交流する予定。馬氏は談話で、若者同士の交流が両岸(台湾と中国)間の現在の雰囲気の改善につながればと期待を寄せた。
空港には台湾独立派団体のメンバーも集まり、馬氏の訪中に抗議した。警察から立ち退くよう警告されると小競り合いが発生した。
▽与党・民進党は断交翌日の訪中に反発
与党・民進党の広報担当の張志豪氏は、中国は馬氏訪中の前日に台湾とホンジュラスを断交させたとし、前総統として訪問の日程を調整しても良かったはずだと指摘。それでも決行したことは「中国に前総統のメンツをつぶされたことを許している」として遺憾だと述べた。
鄭文燦(ていぶんさん)行政院副院長(副首相)も、馬氏の決定は「各界から厳しい評価にさらされることになる」とこのタイミングでの訪中に異議を唱えた。
▽野党・国民党「中華民国の立場堅持するはず」
馬氏が所属する野党・国民党の朱立倫(しゅりつりん)主席(党首)は、馬氏が訪中しても「中華民国の立場は堅持するはず」との見方を示した。
ホンジュラスとの国交断絶については、2016年の蔡英文(さいえいぶん)政権発足以来、9カ国目の断交となったことに触れ、民進党が外交戦略を変えなければ中華民国としての尊厳を失うことになると話した。