東部・台東県で栽培されている「キンマ」の食品としての利用がこのたび、条件付きで認められた。「かみたばこ」と呼ばれる嗜好品(しこうひん)のビンロウとともに食されることから、口腔がんの原因と疑われ、安全な食品として認められていなかった。「10年の努力がやっと実った」。産業転換を目指し、活動を続けてきた台東大の張育銓教授は喜んだ。13日、中央社の取材に応じた。
10年前に台東に赴任した張教授は、キンマ畑を目にしてその広大さに驚いたと振り返る。台東を代表する農産物だったが、「発がん性がある」と長く汚名を着せられていたキンマ。産業が崩壊すれば多くの地元民が路頭に迷うことになると、張教授は産業転換の推進を決めた。
研究や推進活動に私費を投じてきた張教授。「月々の給料はほぼ手元に残らなかった」。手に入る限りの資料に当たったが、キンマの発がん性を示す科学的根拠は見つからなかったという。食用の合法化を目指し、10年かけてやっと実現した。
衛生福利部(保健省)食品薬物管理署は先月30日、乾燥させたキンマの葉について条件付きで食品としての利用を認めるとの通知を出した。香辛料として適量の使用に限定し、原料や製造工程、衛生管理、表示、広告などは関連法に従う必要があるとした。ただ、今後研究が進み、安全性に疑義が生じた場合は決まりを見直す。
張教授は、欧米や東南アジアではフェイスマスクや歯磨き粉、せっけん、ハンドクリームなどさまざまな製品が開発されているとし、新たな産業としての成長が見込めると期待を寄せた。
同県政府農業処の許家豪処長は、これまで行政はキンマに関しては「指導しない、奨励しない、だが禁止もしない」の立場を取ってきたと言及。同県衛生局食品薬政科の卓金津科長は、規定に従って使用してほしいとし、衛生管理の担当機関も評価や検査を行っていくと話した。


