白色テロ時代の1960年代に台北で発生したバラバラ殺人事件を題材にした映画「捜査瑠公圳」(Where the River Flows)の試写会が5日に開かれ、ライ・チュンユー(頼俊羽)監督や主演のベラント・チュウ(朱軒洋)らが登壇した。被害者役を演じたエンジェル・リー(李雪)は撮影時のエピソードや役への思いを話した。
同作は台湾で最初の女性遺体切断事件を基にした作品。戒厳令下の1961年、刑事と記者が台北市内を流れる水路付近で女性の切断遺体を発見し、コンビを組んで真相の究明に挑むという物語を描く。刑事役をベラント、記者役をジュリア・ウー(呉卓源)が演じた。
頭のない遺体にされる被害者を演じたエンジェルは、リアルな頭部を再現するため、目と鼻だけを出した状態で顔に十数層もの石膏を塗られたと告白。「撮影が終わってから初めて、自分が閉所恐怖症かもしれないと気付いた」と笑った。苦労の末に出来上がった完成品はリアルすぎて直視できないと明かした。
また、自身が演じた役は理不尽に死んだと話し、「あの時代の家庭内暴力は家族内の出来事とされ、女性は耐えるか逃げるかしかできなかった。これはとても解せないし、怒りを感じる。演じる時にはこの気持ちを抑えて、声無き叫びを内に秘めた状態で役に没入していった」と役作りの裏側を語った。
台湾で22日公開。