(台北中央社)日本統治時代に建設された鉄道工場の建物を活用した「国家鉄道博物館」の一部エリアで31日、一般公開が始まった。30日に李遠(りえん)文化部長(文化相)や陳世凱(ちんせいがい)交通部長(交通相)らと共に視察した卓栄泰(たくえいたい)行政院長(首相)は、生きた博物館の中で鉄道が歴史の物語を伝えてくれることを期待すると語った。
同博物館の建物は、台北鉄道工場として1930(昭和5)年に建設が始まり、35(昭和10)年に完成。車両の修繕や組み立て、整備などを担った。第2次世界大戦終了後は、台湾鉄路(台鉄)の台北機廠と呼ばれ、2012年に全ての工場機能が移転するまで運用が続けられた。15年には国定古跡に指定され、16年には鉄道博物館として活用することが決まり、19年から修繕工事が進められていた。
今回第1段階として一般公開が始まったのは、ディーゼル工場や総合事務所棟、職員浴場など。卓行政院長は、交通部(交通省)と文化部(文化省)が力を合わせ、解体される可能性があった古跡を活性化し、全世界から来訪者を歓迎できるランドマークになったとあいさつ。文化や歴史、交通インフラの建設から工業の発展、観光事業が一体になった多様性を持つ重要な未来の国家の指標だと語った。
李部長は、同館開館の意義は近隣の国父記念館や松山文創園区、台北ドームなどとつながり、イーストエリア(東区)全体のイメージを一新できることだとし、文化面を交えた今後の地域発展に期待を寄せた。陳部長は、今後も文化部と共に努力して持続可能な運営を目指し、鉄道の美しさを伝えたいと述べた。
開館時間は午前9時30分から午後5時まで(月曜日休館)。ディーゼル工場で行われている常設展は100元(約500円)の参観料が必要。