(台中中央社)外交部(外務省)の葛葆萱(かつほせん)常務次長は15日、中部・台中市で開かれた台日関係をテーマにしたシンポジウムに出席し、日本との関係について、国際機関に関する課題での協力を推進し、多様なプラットフォームを通じた交流を続け、関係者の相互訪問により力を入れたいとの期待を示した。
シンポジウムは中華民国当代日本研究学会や台中市の東海大学政治学科などが主催した。葛次長は頼清徳(らいせいとく)政権が掲げる「総合外交」と台日関係の展望をテーマに講演した。
葛次長は、昨年訪台した日本の国会議員数は延べ100人を超え、両国は支援し合いながら災害や感染症などの難局を乗り越えてきたと紹介。日本は台湾の3番目、台湾は日本の4番目の貿易パートナーであり、半導体受託製造世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は日本に2400億台湾元(約1兆2000億円)規模の投資を行っているとし、台日の強い結び付きを説明した。
その上で、高市早苗首相は就任後、国際会議の場で台湾海峡の平和と安定の重要性を繰り返し強調し、安倍晋三元首相の路線を継続しているとの見解を示した。
中国が設定した防衛ライン「第1列島線」への対応強化については、各方面のリソースを統合して対話レベルを引き上げ、サイバーセキュリティーや偽情報、海底通信ケーブルの強靭(きょうじん)性などに共同で対処するとともに、災害救助などの非伝統的安全保障の分野でも協力すると述べた。
また台日は「非レッドサプライチェーン」(中国に依存しない供給網)と地域共栄に関わる重要な戦略産業での協力を推進し、経済安全保障を強化して、自由で開かれた、平和で繁栄した未来を築くと語った。
林佳竜(りんかりゅう)外交部長(外相)もビデオメッセージを寄せ、台湾の外交を着実に前進させるため、外交ネットワークの構築を進め、台日間の半導体やエネルギー安全保障などの協力を強化すると語った。
台湾で対中政策を担う大陸委員会の沈有忠(しんゆうちゅう)副主任委員(副大臣に相当)は、両岸(台湾と中国)の対等で尊厳ある交流と意思疎通に一貫して尽力していると述べ、北京当局に対し、国民によって選ばれた台湾の政府と対話するよう呼びかけた。