(台北中央社)お遍路の別称で知られる四国八十八カ所霊場巡りを模倣して、日本統治時代に日本人が作った台北近郊の巡礼コース「台北新四国八十八カ所霊場」。本家の四国と同じく88カ所の札所が設定された。現在はほとんど知られていないこの台北版お遍路について、台北市北投区の地域観光ガイド、林智海さんが解説した。
四国のお遍路は真言宗の開祖、弘法大師(空海)ゆかりの寺院88カ所を巡る。台北版お遍路ルートは、日本時代には真言宗の弘法寺があった台北天后宮が起点。台北の繁華街、西門町にある同宮を出発し、士林区の寺院を経由して、陽明山に登る。その後再び陽明山を下り、北投区の普濟寺が88番の札所に設定されている。
林さんは、四国のお遍路は巡礼に1カ月以上かかるのに対し、台北版お遍路は4日間で走破できると説明。元々はルート上に88の仏像があったものの、時代の経過とともに20~30ほどにまで減ってしまったと語った。
人々に台北版お遍路を気軽に体験してもらおうと、北投区内のホテルロイヤル北投(北投老爺酒店)は今年、林さんをガイドに招いて台北版お遍路の一部区間を3時間で巡るツアーを企画した。林さんの説明を通じて参加者に歴史をより深く理解してもらい、地域の昔話を伝えていくという。