(台北中央社)蒋万安(しょうばんあん)台北市長は29日、米半導体大手エヌビディアから、台湾本社を市のテクノロジーパーク「北投士林科技園区」のT17、T18区画に建設することが明確に表明されたと明らかにした。同区画を巡っては、市と地上権所有者である保険大手、新光人寿の間で交渉が難航していたが、新光人寿が先日、一定条件下で地上権契約解除に応じる考えを表明したことで、解決への道筋が立った。
北投士林科技園区は市が開発を進めるエリア。新光人寿は2021年にT17、T18区画計3.89ヘクタールの地上権を期間50年、計44億台湾元(約180億円)で取得していた。エヌビディアが同区画への台湾本社設置を希望したのを受け、市と新光人寿は交渉を行ったが、市が契約解除を提案したのに対して、新光人寿は地上権のエヌビディアへの移転を希望して契約解除を拒み、交渉は膠着状態となっていた。
新光人寿は16日には同区画で開発プロジェクトの起工・地鎮祭を開き、契約上の権利を履行する姿勢を強調。だが22日に一転、同社が支払い済みの関連コストの返還に市が同意することを前提として、地上権解除に同意すると発表した。
蒋市長はこの日の市議会での答弁で、今回の発表は三者が明確に話し合った結果だと説明。新光人寿との契約解除後に特例として地上権をエヌビディアに授け、更地を提供するとした。契約解除の同意で解決する方針は双方の共通認識だと強調した。
市として各種の行政手続きを早期に開始し、できるだけ早くエヌビディアが台北に拠点を設置できるようにすると意欲を示した。
新光人寿との契約解除は11月末にも完了予定で、エヌビディアとの協議は来年半ばにも完了するとの見通しだとしている。