(台北中央社)半導体受託製造世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の機密情報を不正に取得したとして、国家安全法違反の疑いで台湾高等検察署(高検)が捜査を進めている同社元従業員ら3人について、知的財産・商業法院(裁判所)は勾留と接見禁止の請求を認めた。高検知的財産分署が5日、明らかにした。
同分署の報道資料によると、TSMCが従業員の不審な情報アクセスに気づいて内部調査を実施したところ、国家の中核的重要技術に関する機密情報が元従業員や在職中の従業員(すでに解雇)らによって不正に取得されたことが判明。検察に告訴した。
同分署は法務部(法務省)調査局などを指揮し、先月25日から28日にかけて関係者を呼び出し、身柄を拘束。自宅や仕事場を家宅捜索した。
同分署によれば、国家の中核的重要技術に関する機密情報が不正に取得された事件は今回が初。同分署は動機や目的、外部への情報漏えいの有無を全力で調べるとしている。
国家安全法では、いかなる者も、外国・大陸地区・香港・マカオ・域外敵対勢力、またはそれらが設立もしくは実質的に支配する各種の組織・機関・団体、あるいはその派遣者のために「国家の中核的重要技術に関する機密情報を、許可なく、または許可の範囲を超えて複製・使用・漏えいしてはならない」と定めている。
▽ TSMC「日常的なモニタリングで違反を検知」
TSMCは5日、元従業員による機密情報の不正取得について「日常的なモニタリングで不正行為を検知した」とし、社内の全面的で整った監視体制によって早期に不正を察知できたと説明。すでに法的手続きに入っているため、詳細の説明は控えるとした。
また、機密情報の保護に違反する行為や会社の利益を損なう行為を決して容認せず、必ずや厳格に対処し、徹底的に責任を追究すると強調した。
日経アジアは同日、TSMCが先端半導体技術に関連する機密情報を不正に取得した疑いで複数の従業員を解雇したと報じた。関係者の話として、回路線幅2ナノ(ナノは10億分の1)メートルの半導体開発・製造に関する重要情報を取得しようとした疑いがあると伝えた。