(高雄中央社)賃貸契約を巡り、台湾人の女性が日本人の夫と営む南部・高雄市のおにぎり店と物件の貸主の間でトラブルが生じている。激高した貸主が店の前の植木鉢を割るなどし、警察が介入するまでの事態に発展した。20日には店側を支援しようと多くの人々が店を訪れ、おにぎりを購入した。
同市政府警察局鼓山分局によれば、18日に店の前でトラブルが起きていると通報があった。貸主は、店側が専有部分ではない騎楼(道路に面した建物前の通路部分)やバルコニーに物を置くなどしたとして、不動産侵奪や窃盗で訴えると主張した。この時、貸主は激高した様子で店の前にあった机や椅子、植木鉢を倒し、貸主が蹴った椅子が店側の日本人男性にぶつかった。男性は擦り傷を負い、貸主を器物破損と傷害で訴えた。
一連の騒動はインターネット上で拡散され、注目を集めた。20日に報道陣の取材に応じた店主の女性は支援した人々に非常に感謝しているとし、おにぎりがいくつ売れたか数えられないほど忙しかったと語った。また夫がネット上の支援のコメントを見て涙を流していたと明かした。
店は移転を予定している。女性は新たな物件を探している最中だとしつつ、まずは貸主とのトラブルについて裁判所関連の処理を済ませなければならないと話した。
騒動には、地元選出の黄捷(こうしょう)立法委員(国会議員)も関心を寄せた。黄氏は自身のフェイスブックで店について、新潟県で30年以上暮らした夫婦が日本の優れた物産を台湾の人々に紹介しようと開いた店だと紹介。貸主とのトラブルに関してはそれぞれの立場があるものの、暴力は許されないとの考えを示し、台日の友好が消えないことを祈っていると書き込んだ。
また、高雄メトロ(MRT)は駅構内での営業を店側に提案。21日には店主が市内3駅(左営駅、高雄駅、美麗島駅)の店舗スペースを内見したという。さらに同日の市議会でも議員が騒動に触れた。市行政・国際処の張硯卿処長は、店側の希望があれば、空きが出ている市行政センターの職員食堂へのテナント入居を支援するとの考えを示した。