(金門中央社)中国・福建省に近い離島の金門。かつては樹木伐採の影響による風害に悩まされていたが、軍と地元の人々が大規模な植樹活動を展開し、防風林を造成することで被害を軽減させた。その際に多く植えられたのがトクサバモクマオウで、多くの金門の人々に親しまれている。
金門は元の時代から製塩業が盛んだったとされ、その燃料として、島内の木々が使われていた。また、その後の戦乱でも伐採が進められ、土地は次第に荒廃していった。過去に金門県政府文化局長を務めた呂坤和さんは、島の東側にあった西洪村では、家の掃除をすれば1日だけでおけ2杯分の砂が出た他、当時の金門の女性は生活が苦しくなるため、風害のひどかった島の東側に嫁ぎたがらなかったと話す。
資料によると、大規模な植樹活動は1950年ごろ、軍と地元の人々によって始められた。土壌環境が悪くても育ち、成長が早いことからトクサバモクマオウが植樹されたと語るのは、金門の歴史に詳しい董森堡県議会議員。年間を通じて葉が茂り、島内の軍事施設を隠す効果もあったという。長年の努力が実り、風害は70年ごろには少なくなったとされる。
トクサバモクマオウの実は、伝統菓子の上に印を付けるのに使われた。また街路樹として植えられた木の下には飲み物やスイカなどを売る屋台が出るなど、金門の人々の生活の一部となった。
ただ最近では植樹されたトクサバモクマオウの高齢化や道路の拡幅などにより、伐採される木もある。董議員は、県政府が維持管理を進め、健康な木は残したり、移植したりして、木々と開発のバランスを保つべきだと訴えている。