(台北中央社)2023年に日本で出版された中国による台湾侵攻をシミュレーションした「完全シミュレーション 台湾侵攻戦争」の著者で、かつて陸上自衛隊中部方面総監を務めた山下裕貴・千葉科学大学客員教授が15日、台北市内で開かれた中国語訳版のトークセッションに出席し、日本と台湾の軍事的な交流について、台湾との関係の在り方を定めた米国内法「台湾関係法」のような法律を日本が制定すれば「加速される」との認識を示した。
山下氏は、戦争は古来から「国内要因で発生する場合が非常に多い」と指摘した上で、中国の内部で不満がたまった際、人民の目を外に向けるために残された大きな目標が台湾統一だと強調。総統の外遊などを中国政府が「台湾が独立する行動を取った」などと恣意(しい)的に判断する可能性があると警鐘を鳴らした。
著書の中では台湾を標的にしたテロの可能性について言及。「全てを防ぐことは、米国でも日本でもできない」とした上で、テロが発生すると一般市民が動揺するとし、台湾の政府が正しい情報を常に発信することを心掛けなければならないとした。
また台湾有事の際には台、日、米、韓、フィリピン、オーストラリアなどの関係国が共同の枠組みで対話をしたり、安全管理を話し合うことが重要だと述べた。
(齊藤啓介)