(台北中央社)衛生福利部(保健省)疾病管制署は9日、アメーバの一種、フォーラーネグレリアによって引き起こされる感染症「原発性アメーバ性髄膜脳炎」で、北部の30代女性が死亡したと発表した。台湾で原発性アメーバ性髄膜脳炎による死者が発生するのは2011年以来12年ぶりで、国内2例目。
同署によれば、女性は先月26日に頭痛や肩・首の硬直を感じ、後に発熱や悪寒、首の痛み、ひきつけなどの症状も現れたため医療機関を受診。病状の進行は早く、今月1日に死亡した。女性に最近の海外渡航歴はない。発症前には屋内プール施設を訪れていたという。
北部・新北市の衛生局は感染源を特定するため、女性が訪れたプール施設で水質検査のための検体採取などを行った他、運営業者に予防的な休業と消毒を求めたとしている。業者によれば、女性は先月21日に館内で水のレジャーを楽しんでいたという。
同署によれば、フォーラーネグレリアは「脳を食べるアメーバ」とも呼ばれる。温暖な環境を好み、温かい淡水や温泉などに存在する。天然水域で活動する際、アメーバが鼻から脳に侵入することがある。潜伏期間は約1~7日で、発症後は急速に症状が進行する。初期は頭痛や発熱、吐き気、嘔吐などの症状が現れ、後に首の硬直やひきつけ、意識の変化、せん妄、昏睡などの脳炎の症状が起きる。発症後の致死率は約99%に上るという。
同署は、夏はフォーラーネグレリアが発生しやすい時期だとし、水遊びや温泉を楽しむ際には鼻に水が入らないように注意するよう呼びかけている。