(台北中央社)台北市立動物園が飼育員の待遇改善を訴えている。同園の広報担当者、曹先紹氏は29日、報道陣の取材に応じ、修士号や博士号を取得している飼育員でも就職から3~4年で給与は最高額に達するとし、月給は4万台湾元(約18万円)に届かないまま定年退職を迎えると語った。
同園の労働組合は昨年、給与が30年以上前から変わっていないとして台北市政府前で抗議していた。
曹氏は、絶滅の危機があるセンザンコウの飼育で同園が国際的な成果を収めていることに言及。他国の同水準の動物園では月給が6~9万元(約27万~41万円)ほどだと紹介した。
その上で、動物園が世界と歩調を合わせるには職員の尽力と専門性が必要だと強調。給与と仕事内容が見合わない状態を座視し続けるべきではないとし、政府や立法院(国会)の支持が得られることに期待を示した。
曹氏によれば、各公立動物園の危険を伴う作業に従事する職員への手当の調整や賞与の支給に関する提案を昨年末、政府に提出。危険手当については現行から1200~3000元(約5500~1万4000円)引き上げるよう求めた。だが、資料が不十分だとして差し戻された。
曹氏は、過去30年間で仕事のリスクは増大し、台北での生活費も変化したと指摘。動物園が台湾の地位向上に貢献することを多くの人が願っていることに触れ、飼育員が生活費を賄えず動物園を去っていくことは誰も望んでいないはずだと理解を呼びかけた。