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能登半島地震/被災した珠洲の海岸に立つ台湾芸術作品、「家」の姿そのままとどめる 一筋の光のよう

2024/02/01 16:56
珠洲市の鉢ヶ崎海岸に立つ台湾の現代アーティスト集団、ラグジュアリー・ロジコ(豪華朗機工)の作品「家のささやき」(1月30日撮影)
珠洲市の鉢ヶ崎海岸に立つ台湾の現代アーティスト集団、ラグジュアリー・ロジコ(豪華朗機工)の作品「家のささやき」(1月30日撮影)

(石川中央社)能登半島地震で深刻な被害を受けた石川県珠洲市の鉢ヶ崎海岸には、昨年秋の「奥能登国際芸術祭2023」で展示された台湾の現代アーティスト集団、ラグジュアリー・ロジコ(豪華朗機工)の作品「家のささやき」が閉幕後も引き続き残されている。中央社記者が先月末、海岸に様子を確認しに行くと、瓦を用いて家を形作った同作品は地震後も損壊することなくそのままの状態でそびえ立っていた。まるで復興に向けた一筋の光のようだった。

地震による珠洲市の死者は先月29日現在で101人に上り、輪島市と並んで県内で最も多くの死亡が確認されている。住宅は4572戸が被害を受けた。泉谷満寿裕珠洲市長は取材に対し、同市は「壊滅的な被害」を受けたと言えると話す。

泉谷満寿裕珠洲市長
泉谷満寿裕珠洲市長

同市全域を会場に3年に1度開かれている同芸術祭は昨年で3回目を迎え、目玉の一つであるラグジュアリー・ロジコの作品を目当てに台湾からも多くの観光客がやって来た。泉谷市長は「今後も台湾の人々との交流を深めようと思っていた矢先に大震災に見舞われてしまった」と落胆した心の内をのぞかせつつ、芸術祭そのものは被害を受けなかったとし、今後も芸術を基礎として新たな地域や就業機会の創出に取り組んでいく姿勢を示した。昨年の芸術祭も同年5月の最大震度6強の地震の影響で開催を3週間遅らせていた。

記者は先月30日、珠洲市役所での取材を終えた後、七尾市出身のドライバーが運転する車で鉢ヶ崎海岸に向かった。ラグジュアリー・ロジコの作品が無事だとは事前に台北駐日経済文化代表処台湾文化センターの王淑芳センター長から知らされていたが、一目見たかった。道中、唯一の一本道の両脇には家屋が大きく倒壊した光景が広がり、「危険」と書かれた赤い紙が張られた家屋や大きく傾いた電柱、壊れた看板なども目に入った。

海岸に到着し、被害を免れた「家のささやき」を目にしたドライバーの男性は「ここだけ災難が発生しなかったようだ」と感動した様子だった。記者に同行した金沢市在住の林昀萲さんも「私たち台湾の作品はなんと被害を受けていない。本当に感動的」と口にした。

「家のささやき」は、地域住民の予備瓦や廃棄瓦520枚を集めて制作された。これらの瓦は珠洲の家屋でよく見られるもので、過疎化が進む同地域で「この地を離れた人々が再び戻ってくるように」との願いや、地域に新たな希望や新たなシンボルをもたらせればとの期待が込められている。

泉谷市長は、芸術祭は2026年に第4回の開催を予定していたものの、開催はもっと先になるだろうと話す。「国際芸術祭を開ける程度まで復興が進んだ際には、多くの台湾の人々に現代アートを見に来てほしい」と呼びかけた。

(楊明珠/編集:名切千絵)

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