(台北中央社)頼清徳(らいせいとく)総統を「ヒトラーと同じ」とやゆした最大野党・国民党の朱立倫(しゅりつりん)党主席(党首)の発言が、ドイツやイスラエルの駐台機関などから非難を浴びている。卓栄泰(たくえいたい)行政院長(首相)は9日、中央社の単独インタビューで、朱氏の発言は「国際社会における国家のイメージに影響を与えている」と懸念を表明し、「これは台湾の内政問題ではない。単なる一野党の党内問題に過ぎない」との見解を示した。
朱氏は7日、「頼総統の野党に対する行いはヒトラーがしたのと同じだ」と発言した。これに対し、ドイツやイスラエルの駐台機関が相次いでフェイスブックで声明を出し、失望と憂慮を表明した。英国やフランス、オランダなど複数の国の駐台機関も、ドイツの駐台機関の声明を拡散した。朱氏は8日、民主主義や人権を傷つける独裁者に厳格に向き合おうというのが発言の趣旨だったと説明し、国際社会はともに独裁者を唾棄(だき)すべきであり、外国政府は各国の内政に干渉すべきではないなどと主張した。
卓氏は、朱氏が外国の駐台機関の声明を「内政干渉」だと指摘したことに関し、「これ(朱氏の発言)は一つの党の内部の意見であり、内政には決して当たらない。内政とは無関係だ」と一刀両断。国内の最も主要な野党がこれほどまでに軽率な一言で国際社会のタブーを冒し、自身の誤りを認めようとしないのは非常に好ましくないと批判した。