(台北中央社)行政院院会(閣議)は26日、公職者の訪中に関する制限を強化する台湾地区・大陸地区人民関係条例改正案を決定した。総統・副総統経験者について、中国で党務や軍事、行政、政治的性質を持つ機関・団体が開催する行事に参加して国家の尊厳を妨げる行為をすることを禁止する内容が新たに盛り込まれた。
中国共産党による対台湾統一戦線工作や浸透、分断行為を防ぐ狙いがある。選挙で選ばれた公職者の大陸地区訪問に関する情報が不透明であることから、法改正によって、職務上で国家の安全や利益、機密に関わる者に対する規制を整える。
改正案では、総統・副総統経験者や国家安全会議諮詢委員、中央三級機関以上の首長らが中国で党務や軍事、行政、政治的性質を持つ機関・団体が開催する行事に参加して国家の尊厳を妨げる行為をした場合、月額退職給付を停止・剥奪すると規定。月額退職給付がない場合は200万台湾元(約995万円)以上、1000万元(約4975万円)以下の過料を科す。
また、公務員の訪中を全面的に許可制とし、立法委員(国会議員)の訪中についても、許可の取得を義務付ける。
院会後の記者会見に出席した行政院の李慧芝(りけいし)報道官によれば、卓栄泰(たくえいたい)行政院長(首相)は院会で、法改正は頼総統が3月に打ち出した国家安全保障に関する17項目の戦略を踏まえたものだとし、浸透を防ぎ、主権を守る決意を示すと述べた。
改正案は今後、立法院(国会)で審議される。