(台北中央社)中国による台湾の武力統一を鼓吹したなどとして、台湾の居留許可を廃止された中国人配偶者の女性が25日、台北市の内政部(内務省)庁舎前で記者会見を開き、処分撤回を訴えた。会見場所の周囲には、政治系ユーチューバーなど女性の退去を支持する人々が詰め掛け、「帰れ」などの怒号を女性に浴びせた。ユーチューバーと警察が衝突する場面もあった。
台湾人の夫や3人の子供と共に台湾に住む女性はインフルエンサーとして活動し、ティックトックやユーチューブなどに動画を投稿していた。内政部移民署は女性が武力統一を主張する発言をSNSで行っているとの通報を受けて調査を進め、11日、女性が「(中国)大陸の台湾武力統一にもはや他の理由は要らない」などの発言を公に行い、社会の安定に影響を与えたなどとして、女性の居留許可を廃止すると発表した。女性の居留許可は15日までに廃止され、女性は25日までに台湾を離れなければ、強制退去させられることになる。また、今後5年は「家族呼び寄せ」名目での居留許可申請ができなくなった。
記者会見は、台湾で国際結婚をした移民を支援する市民団体が主催した。女性は記者会見で、退去処分は国際条約違反で人権侵害だと主張。自身は「武力統一については語ったが、情勢分析に基づくものだ」とし、「(女性が)武力統一を主張した」とする移民署側の見解に反論した。また、「台湾を愛しているし、大陸も愛している」と語り、台湾は自身と家族の生活の場だと訴えた。会見には女性の夫も出席し、内政部に対し、処分を撤回し、家族を引き離さないよう求めた。
内政部からは、陳情を受け取る職員は出てこなかった。
囲いで隔てられた記者会見場の外には、中国の統一戦線のやり口などを暴く動画などを公開した政治系ユーチューバー、八炯さんの呼びかけで集まった退去支持派の人々が集結。八炯さんらは会見場内に突入しようとしたものの、警戒に当たる警察官に止められ、両者の間で2度にわたり衝突が起こった。