(台北中央社)総統府は23日、違憲審査における表決のハードルを引き上げる内容を盛り込んだ改正憲法訴訟法を公布した。与党・民進党の立法院党団(議員団)は同日、記者会見を開き、同改正法の一時停止処分や違憲審査を司法院に申し立てたと発表した。
同改正法は昨年12月20日、立法院(国会)で野党の賛成多数で可決された。違憲審査などの職務を担う司法院大法官が15人未満となった場合、総統が2カ月以内に補充のための候補者を推挙しなければならないことや、違憲判断を行うには少なくとも9人の大法官の賛同が必要であることなどが明記された。改正法案の審議を巡っては、立法院で多数派を占める野党が強行採決を図り、市民による大規模な抗議集会も行われた。行政院(内閣)は再議(審議のやり直し)を申し立てたが、立法院は10日、再議案を否決した。
現在在任中の大法官は任期満了者を除いて8人。先月24日、立法院で人事同意権案の投票が行われたが、推挙された7人全員が承認されなかった。
総統府は23日、頼清徳(らいせいとく)総統のコメントを発表。頼総統は、同改正法の規定には「憲法法廷の正常な運営を妨げ、司法権力の核心的範囲を侵害し、政府体制の分立によって制御されるバランスを破壊する憲政上の議論があり得る」とし、「憲法の枠組みを明確にし、憲政の秩序を維持するため、憲法法廷による裁判を請求するのが適切だ」との考えを示した。
頼氏のコメントを受けて野党・国民党は、総統が法律の公布と同時に違憲審査の申し立てに関する考えを表明するのは「総統が国会の民意に反対する最も悪い手本だ」と批判。「法にのっとって行政運営をするのは、行政の最も基本的な仕事」だとし、民進党に対し「憲法法廷の中の巨大児(精神が未熟な大人)になるべきではない。与党少数、野党多数の運営論理を理解せよ」と訴えた。