(台北中央社)立法院(国会)第3党・民衆党の柯文哲(かぶんてつ)主席(党首)に、自身が立候補した1月の総統選での政治献金の取り扱いが不適切だったとの疑いが浮上している。台湾台北地方検察署(地検)は12日、特定の人物が犯罪に関与しているか明らかでない「他字案」の形式で捜査に乗り出した。
監察院は7月、総統選に出馬した各候補者が提出した政治献金会計報告を公表。柯氏の会計報告に記載されている支出のうち3件について、支払先の企業2社から支払いを受けていないとの指摘が挙がった。3件の支出額は合わせて約916万台湾元(約4200万円)に上る。また柯氏の選挙本部で最高財務責任者(CFO)を務めた人物の妹が董事長(会長)で、柯氏の応援グッズを制作した企業に対して「授権金」(ライセンス料)の名目で4回にわたって計1300万元(約6千万円)を支払っており、これらの資金の流れが不透明だとの批判も寄せられている。
柯氏や党関係者は12日に記者会見を開き、会計士の端木正氏が約1817万元(約8300万円)余りを企業3社に「自身の意思で調節した」と説明。申告漏れや誤りが合わせて17件あったとした。柯氏は、全ての支出は事実の証明ができるとした上で、資金は誰のポケットにも入っていないと話した。総統選で選挙本部総幹事を務めた黄珊珊(こうさんさん)立法委員(国会議員)は、党として監察院の調査に協力するとともに、端木氏の責任を法にのっとって追及するとの考えを示した。
一方、端木氏も同日、声明を発表した。政治献金の会計報告に関して提供した監査サービスは全て法律に従って処理したとし、監察院や検察署が関連する証拠を詳しく調査し、真相を明らかにするのを信じているとした。
一連の疑惑を巡っては、台北地検が自発的に捜査を開始したほか、鍾小平台北市議(国民党)やミニ政党「台湾基進」が柯氏を公文書偽造や政治献金法違反などで12日、同地検に刑事告発した。