(台北中央社)文化部(文化省)は12日、台北市の中正記念堂で行われている国軍儀隊(儀仗隊)によるパフォーマンスの形式を15日から変更すると発表した。蒋介石元総統の銅像が設置されるホールで従来実施されてきた立哨や交代儀式のパフォーマンスを取りやめ、記念堂前の「民主大道」を行進する形式へと切り替える。国民党独裁期における人権侵害やその結果の真相究明を目指す「移行期の正義」の一環だとしている。
中正記念堂は国民党の蒋介石氏を顕彰するのを目的に建てられた施設で、1980年に完成した。観光名所としても知られ、銅像ホールで立哨の任務に当たる衛兵の微動だにしない姿や交代のパフォーマンスは、観光客を引き付ける名物ともなっていた。一方で、民進党政権が移行期の正義を進める中、中正記念堂は権威主義体制下での統治者を記念するシンボルであることから、施設の転換が進められている。
文化部は12日に発表した報道資料で中正記念堂の移行期正義について、「脱個人崇拝」「脱権威主義崇拝」を現時点での目標に掲げていると紹介。銅像ホールでの立哨任務の廃止について、中正記念堂に駐在する儀仗隊をパトロール訓練や場の安全維持といった任務の目的に回帰させるためだと説明した。
15日以降、儀仗隊の屋外パフォーマンスは毎日午前9時から午後5時まで、毎時ちょうどに行われる。儀仗隊は3人1組となって記念堂1階の左右の門をそれぞれ出発し、記念堂を囲むように敷設されている道に沿って民主大道まで行進し、民主大道でパフォーマンスを行う。終了後は立哨を行わずそのまま待機室に戻る。1回当たりの所要時間は約15分間。雨天時は実施しない。