(台北、東京中央社)国立国会図書館が提供する検索サービス「国立国会図書館サーチ」の英語版新規利用者登録ページの居住国選択欄で、台湾が「中国台湾省」(TAIWAN, PROVINCE OF CHINA)と表記されていることが分かった。外交部(外務省)は20日、台北駐日経済文化代表処(大使館に相当)に対し、同館に厳重に抗議し、誤りの訂正を求めるよう指示したと明らかにした。
同サービスは先月5日、従来の2つのウェブサービスを統合、リニューアルする形で新たに公開された。日本語版の利用者登録ページの居住国選択欄では、台湾が「タイワン(台湾)」とされているが、英語版では「中国台湾省」と表記された。これに関し、在日台湾人団体の連合組織、全日本台湾連合会(全台連)が18日、同館の吉永元信館長宛てに抗議文を発表し、早急な訂正を求めていた。
外交部の劉永健(りゅうえいけん)報道官は20日の定例記者会見で同館の英語版ページの表記の誤りについて、厳重に抗議するよう駐日代表処に指示したと説明。「中華民国台湾は独立した主権国家であり、中華人民共和国とは互いに隷属しない」とし、同館に対して訂正を求めると述べた。
全台連は抗議文で、台湾人利用者が利用者登録を行う場合に「自分の国台湾を『中華人民共和国台湾省』と認めなくてはならないような仕組みになっている」と指摘。「台湾人にとって非常な侮辱であり、また事実とも著しく異なる」と非難した。その上で、「台湾は独立した主権国家であり、独自の政府、経済、文化を持っている」とし、「決して中国の一部ではない」と訴えた。
また、国立国会図書館が「真理がわれらを自由にするという確信に立つて、憲法の誓約する日本の民主化と世界平和とに寄与すること」を使命に掲げていることに触れ、「台湾を併呑すると公言し、『台湾はわれわれの領土だ』と虚偽のプロパガンダを重ねる中国におもねるような姿勢は国立国会図書館の精神に反する」と批判した。
20日午後2時現在、英語版ページの居住国選択欄は「TAIWAN, PROVINCE OF CHINA」のままになっている。