離島・澎湖で巡回展を開催している画家、奈良美智さんは29日、澎湖生活博物館でレクチャーした。自分の創作の道のりを「いつも遠回りしている」と振り返り、新型コロナウイルス流行下に来台した際に隔離のために宿泊したホテルで描いた絵の中の人物はいずれも「自画像」だと明かした。
同展は非政府組織(NGO)、中華文化総会などが主催する10年間の台湾巡回展の一環で、澎湖での開催は昨年4~8月の南部・高雄市に続く2カ所目。台湾のために描いた作品「Hazy Humid Day」に加え、個展開催のため、コロナ禍の中で訪台した2021年、南部・台南市の宿泊施設で隔離した際の作品も併せて展示される。
絵の左下に「私」と書かれた作品がそれに当たる。これに触れた奈良さんは、当時の隔離生活について「人付き合いが苦手で一人でいるのが好きなため」と喜んで歓迎する気持ちを表明した。遠回りの創作理念については、そうしてこそより多くの風景が見られるとし、自分に成長余地を感じさせるのは予測困難な状況で、それができなくなったら「皆の前から消えるだろう」とも語った。
巡回展は澎湖開拓館で9月1日まで。観覧には公式ウエブサイトから予約が必要。毎週月・火曜日と祝日・休日は休館。