南部・台南市の湿地でこのほど、希少な渡り鳥の小型シギ「ヘラシギ」が確認された。台湾本島への飛来は2020年以来3年ぶり。生態系の保全に関心を持つ民間団体「七股将軍塩灘地湿地復育連盟」が21日報道資料で明らかにした。
ヘラシギは世界的な絶滅危惧種でしゃもじのような形をしたくちばしが特徴。同団体によれば、毎年、太平洋西側の海岸域を南北に移動するヘラシギは夏は東アジアの北部で繁殖し、冬になると東南アジアや南アジア沿岸の越冬地へ渡る。生息地の減少や気候変動などの影響で現在世界で約400~500羽しか生息していないと推定されている。
同市に飛来したヘラシギには足輪がついており、その情報から2019年6月ロシア東部地域で放鳥された個体と判明。同年冬、越冬のため同市将軍区の湿地に姿を見せたという。
同市野鳥学会によれば、台南では17年から20年までの間、ヘラシギを毎年観察できた。21~22年には目撃情報がなかったものの、今年再び姿を見せたことは、同じ場所を越冬地とする「土地執着性」を示しており、今後も引き続き渡来する可能性があるとしている。