(台北中央社)24年前に台湾で行方が分からなくなった息子を尋ね続けたニュージーランド人男性、フィル・チェルネゴブスキーさんの物語を映画にしたドキュメンタリー「費爾的旅程」が27日、台湾で公開を迎える。台湾の人々の優しさに触れ、悲しみが少しずつ癒されていったというフィルさん。映画では台湾の人々との交流も描く。
1998年、フィルさんの息子は阿里山で登山を楽しんでいた。消息が絶たれた後、渡台したフィルさん。息子の写真を抱いて総統府前で支援を求めた様子は当時広く報じられた。
行政機関や民間の助けを得て、阿里山で懸命な捜索活動が行われた。遺体の発見には至らなかったが、台湾原住民(先住民)族ツォウ族の友人の言葉を信じることにした。「息子は森になったんだ」。現在も地元の人々との交流は続いており、息子が眠る森を訪れることもある。
メガホンを取ったのは陳勇瑞監督。「彼が一番困っていた時に、見返りを求めず手を差し伸べた人々がいて、彼の悲しみを癒した。これは本当に感動的なこと」と語る。フィルさんの体験がニュースとしてではなく、永遠の物語として記録されるべきだと考えたという。
27日から台湾10カ所の映画館で公開される。