(台北中央社)北部・桃園市の海岸で16日、ゴムボートで上陸した中国籍の男2人が見つかり、海洋委員会海巡署(海上保安庁に相当)に逮捕された。これとは別に、中国の男性が同市の海岸にゴムボートで上陸したと自称する動画が18日、インターネット上に投稿された。海巡署は19日、記者会見を開き、ゴムボートのような小型の目標が、中国の認知戦や、武力攻撃と判断しにくい手段で圧力を加える「グレーゾーン作戦」の主要手段になっているとの見方を示した。
逮捕された2人は親子。中国福建省の平潭県を出発し、桃園市観音区の海水浴場に上陸した。父親は調べに対し、中国で迫害を受けたため、自由を求めて台湾に来たと話しているという。
動画を投稿した男は、福建省の福州長楽空港周辺からゴムボートで桃園に到達したと動画内で言及。動画には男が海上と砂浜を背景に自撮りをする光景が映されていた。男はその後、中国に戻ったとしている。
海巡署で報道官を兼務する謝慶欽副署長は、動画について分析を行ったとした上で、砂浜で撮影された映像は偽造されたものではないと説明。ただし、男が動画内で言った通り実際にゴムボートで密航して撮影したのか、協力者の下でフェイクを加えて撮影されたものかは不明で、道路に設置された防犯カメラの映像を確認しているとした。
また、男が動画内で説明した燃料の持参量が、想定される必要量をわずかに上回る程度だったことや、脱水症状と日焼けが見られないことから、疑念もあるとした。
謝氏は、不審物を探知するための赤外線サーモグラフィー機器の数が大幅に不足していると言及。小型の目標がグレーゾーン作戦や認知戦の主要手段になっていることを踏まえ、ハイテクな沿岸・海上監視偵察システムの設置が急務だとし、特別予算での支援を求めていくと述べた。