(台北中央社)農業部(農業省)畜産試験所は8日、李登輝(りとうき)元総統ゆかりの「源興牛」など官民の協力で育成した新品種2種を発表した。「源興牛」は量産化後、ハイエンド市場への展開を目指す。同所は、台湾の畜産業の競争力向上に期待を寄せている。
「源興牛」は日本統治時代に日本から持ち込まれた役用種をルーツとする牛と、台湾で飼育されるホルスタインを交配させた品種。2016年、台北の陽明山国家公園内の擎天崗で放牧されていた日本由来の牛19頭全てを李登輝基金会が購入し、東部・花蓮県鳳林鎮に移した。源興牛の生産を担う源興居生技によれば、現在ではその数は200頭余りに達した。契約農家と共に繁殖を進め、3年以内に1000頭まで増やす予定で、1万頭にまで拡大すれば、市場への流通を開始する。
源興居生技の鍾迪名総経理(社長)は、源興牛の肉質は甘く、血統上でも純血であり、注目を集めていると紹介。日本やベトナムからも問い合わせがあり、源興牛の精液を輸出する形で協力して生産し、台湾に逆輸入して高級ブランドとして展開する可能性もあるとした。早ければ2年でスケール化(規模の拡大で収益性を高めること)が可能だと話した。
畜産試験所は「平埔黒豚」も発表した。春発成畜牧場が2008年から台湾各地の黒豚を買い入れ、同所や台湾大学の王佩華教授らと共に育成した。春発成の李栄春総経理によれば、平埔黒豚はコラーゲンの含有量が市販の白豚やイベリコ豚の1.5倍に上り、甘みも4倍に達するという。すでに加工品の販売が始まっており、輸出もされている。今後、年間5万頭の生産を目指す。