(東京中央社)日本の外務省が主催した第18回日本国際漫画賞の授賞式が12日、東京の外務省飯倉公館で行われた。「芭蕉の芽」第2巻で優秀賞に選ばれた台湾人漫画家の左萱さんはあいさつで、「自由な創作が許される台湾の土壌が自分を育ててくれたことに感謝します」と語った。
芭蕉の芽は日本統治時代の1930年代を舞台に、左萱さんの母校である台湾師範大学(台北市)の前身、台北高校に通う性格の違う2人の少年が協力し、雑誌を創刊する物語。当時の高校生の学園生活や青春を描いた。審査員を務めた元漫画雑誌編集長の岸本憲治さんは、多くの人が懐かしむ学生生活の「原風景」を感じられる内容で、当時の自由な雰囲気を表現しているとし、左萱さんのきめ細やかな取材と時代考証を高く評価した。
左萱さんは、日本の漫画は自身の創作活動の全てに寄り添ってくれたと感謝を示した上で、優秀賞の受賞について「とても光栄です」と喜び、「作品のテーマの中で感じた情熱をより多くの人や場所に届けたい」と語った。
左萱さんは中央社の取材に対し、自身の作品は日本と密接なつながりがあるとし、今回の訪日で戦前や昭和時代に関する博物館を訪れ、作品の内容をより豊かにするために役立てる考えを示した。
この日は、李逸洋(りいつよう)台北駐日経済文化代表処代表(大使に相当)も会場で祝福。左萱さんは第10回日本国際漫画賞でも入賞歴があることに触れ「2回の受賞により台湾漫画家の優れた実力を示せた」、「今後最優秀賞を受賞できることを望む」と期待を寄せた。