(台北中央社)日本統治時代に温泉郷として整備され栄えた台北市北投の地域振興プロジェクトが進められている。「ザガイアホテル台北(大地酒店)」では、かつて北投に多く見られた高級料理店「酒家」で出された料理を再現。昭和天皇が皇太子時代に行った台湾行啓(ぎょうけい)の際、提供された料理もある。
酒家での宴会の際に出されたコース料理「酒家料理」は、日本による統治の影響を受けて発展し、客人をもてなす手の込んだ料理や豪華な盛り付けなどが特徴とされる。同ホテルで再現された料理は10品で、皇太子だった裕仁親王が食べた「金錢火鶏」(豚肉の挟み揚げ)もメニューに名を連ねている。継承が途絶えていたが、当時の文献を参考に料理人たちが再現を試みた。
政府が設立した「台湾設計研究院」の主導の下、北投で進められている地域振興プロジェクトの一環で、地元の宿泊施設や農家、デザインやマーケティングを専門とする人材を巻き込み、北投の産業を再構築しての地域振興を目指す。
同ホテルで再現された料理にも地元農家が生産した食材を使用。プロジェクトに参加したPR会社「之外工作室」は、台北市内で食材を産地から食卓まで最短距離で届けることを実現させたと説明。「絵に描いたように美しい酒家の宴会料理」は今回のプロジェクトにおけるデザインの重点となったと胸を張った。