(台北中央社)台湾で対中政策を担当する大陸委員会が公表した最新の中国大陸情勢に関する報告書で、中国が統合作戦を展開した場合、防衛ラインである列島線の外側で困難に直面するとし、台湾に侵攻する能力はないとの見解を示したことが分かった。
大陸委は、米国防総省が2024年に公表した中国の軍事力に関する報告書やその他のデータなどから、同年第4四半期(10~12月)の中国情勢を分析した。
習近平国家主席は2015年から軍事改革に取り組み、近代的な軍隊の建設や多領域作戦力の向上を図っているとした上で、陸海空、宇宙、サイバー空間で作戦を展開できる統合部隊を組織しているとみられると指摘。一方で、指揮能力や遠距離後方支援力、都市での作戦力などに重大な欠陥があるとした。
また中国は世界最多となる370隻以上の艦艇や潜水艦を擁し、第4世代戦闘機もインド太平洋地域で最多となる1300機以上を保有するとしながらも、中国が定める九州沖から沖縄、台湾、フィリピンまでを結ぶ第1列島線以外での統合作戦力は、一体化された情報ネットワークシステムが未構築のままであるなど、依然として制約を受けるとの見解を示した。
中国による軍事演習を巡っては、中国は台湾海峡での軍事的突発事件を重視するようになっているとし、引き続き台湾侵攻技術を向上させ、第三者の介入を抑止すると分析。中国は台湾海峡での衝突に米国が介入することを懸念していると指摘した。