(台北中央社)台湾で対中政策を担う大陸委員会は17日、最大野党・国民党の馬英九(ばえいきゅう)前総統が米国で、台湾と中国双方の窓口が1992年に形成したとされる「92年コンセンサス」を受け入れることで初めて両岸(台湾と中国)の平和が実現可能になるなどと発言したのに対し、中国が一方的に掲げる政治的前提が両岸の対話を妨げていることなどに馬氏は目を向けておらず、中国の政治的主張に迎合しており、台湾の主流な民意に反しているした。
馬氏の事務所が発表した報道資料によると、馬氏は米東部時間16日、ニューヨーク大学で講演し、米国は両岸の対話を促し、平和を追求する役柄を演じるべきだと述べた上で、来年1月の選挙で選ばれる新総統は台湾独立に反対すべきだなどと主張した。
これに対し大陸委は、蔡英文(さいえいぶん)総統が就任してからの約8年間、政府は終始両岸の現状を認め、維持し、中華民国憲法や関連法などに基づいて両岸の事務を行い、挑発せず、盲進せず、圧力に屈せず、中国に武力行使をする口実を作らせないとする「4つの堅持」を固く守ってきたと説明。これまでの世論調査の結果によれば、台湾の主流な民意は、蔡氏が両岸関係の平和と安定を確固として守る立場を高く支持しているとした。
また、両岸の平和と安定を維持する政府の政策は一貫しているとした上で、対等な尊厳に基づき、いかなる政治的前提も置かずに中国との建設的な対話を進め、両岸関係の処理に責任を負う意欲があることをすでに何度も伝えていると主張した。
さらに92年コンセンサスは一つの中国原則の前提の上にあるものだとし、このような定義の下では中華民国が存在する余地はなく、政府や台湾人は決して受け入れられないと強調した。