(台北中央社)カタールで行われるサッカーワールドカップ(W杯)の観戦希望者が登録するID申請システムで、「台湾」と表記されていた国籍欄の選択肢が「中華台北」に変更されたことが分かった。外交部(外務省)は20日、中国政府が弱い者いじめと国際社会で台湾を矮小(わいしょう)化し続けていることについて、強く非難した。
カタールでの試合観戦には入国ビザと入場チケットを兼ねた「ヘイヤ・カード」と呼ばれるIDの発行申請が必要。だが、国籍欄には当初、「台湾」の選択肢がなく、その後「中国台湾」の項目が追加されたものの、台湾側の働き掛けを受けて16日までに「台湾」と表記されるようになっていた。
しかし今度は「中華台北」と変更。中国側は20日、カタールが「一つの中国」の原則を堅持したとして称賛した。
これを受けて外交部は、主催者が不当な政治勢力の介入を拒否できなかったことや、台湾と十分な話し合いをしないまま国籍欄の表記が変更されたことについて、遺憾の意を表明した。
中国政府による弱い者いじめに関しては、国際社会による関心や、各界の台湾支持を無視していると指摘。「一つの中国」の原則は「虚構」だとした上で、政治によって公平、公正を求める国際的なスポーツ大会を政治利用していると強く非難した。
外交部は、中華民国サッカー協会と緊密に連携し、台湾のファンの権利と尊厳に配慮しながら、引き続き主催者側と意思疎通を図り、前向きな方法を模索するとの認識を示した。