中央通訊社は2022年の台湾の10大ニュースを選びました。重要ニュースから、今年の台湾を振り返ります。(対象期間:2022年1月1日~11月27日)
米国のナンシー・ペロシ下院議長が8月2日、訪台した。米下院議長の台湾訪問は1997年のギングリッチ氏以来で、台湾を訪れた米国の要人としては過去25年で最高位。ペロシ氏が訪台すると、中国は台湾周辺の6つの海域で軍事演習を行い、台湾上空を通過するミサイルを発射した。
22県市の首長や議員を選ぶ統一地方選が11月26日、投開票された。首長選は、候補者の死去に伴い延期された南部・嘉義市を除く21県市で実施され、野党・国民党が台北、新北、桃園、台中の行政院(内閣)直轄4市を含む13県市で勝利した一方、与党・民進党は首長ポストを5県市に減らし、大敗した。民進党主席(党首)を兼務する蔡英文(さいえいぶん)総統は党主席を引責辞任した。公民権年齢を18歳に引き下げる憲法改正案の賛否を問う国民投票も同時に実施されたが、同意票が必要数に達せず、承認されなかった。
東部・台東県池上で9月17日、18日の2日連続で最大震度6強を観測する地震が発生した。東部・花蓮県玉里では橋の崩落やビルの倒壊、道路の寸断などの被害が出た。中央災害対策センターの統計によれば、1人が死亡、170人が負傷した。
新型コロナウイルスの感染状況の緩和に伴い、政府は10月13日、2020年3月19日から2年半余りにわたり実施してきた入国後の隔離措置を廃止し、水際対策を大幅に緩和した。
統一地方選を前に、政治家の学位論文を巡る不正が相次いで発覚した。林智堅(りんちけん)前新竹市長は台湾大学から修士論文の一部に盗用があったと認定され、修士号を取り消された。林氏は民進党公認候補として桃園市長選に立候補する予定だったが、騒動を受けて出馬を取りやめた。野党・民衆党の蔡壁如(さいへきじょ)立法委員(国会議員)も修士論文の盗用が認定され、自身の潔白を主張しつつも立法委員を辞職した。
台湾の損害保険各社が新型コロナウイルス感染症を補償対象として販売した保険の保険金支払額が10月17日までに約1008億台湾元(約4330億円)に達した。ワクチン保険を加えると、支払額は約1288億元(約5280億円)に上った。国泰世紀産険や中信産険、富邦産険、新安東京上海産険など損保各社は増資を申請し、増資額は計707億元(約3040億円)。保険商品発売後に感染が急拡大したことに伴い、診断書を求めて救急外来を受診する人が殺到するなどの混乱も生じた。
新型コロナや地政学リスクの影響を受け、世界的に深刻な半導体不足が生じる中、半導体受託製造世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は拠点の分散を図ろうと、日本や米国に相次いで工場を建設している。12月6日には、米アリゾナ州フェニックスに建設中の回路線幅5ナノメートル(ナノは10億分の1)の半導体を製造する工場に最初の製造装置を搬入する式典を行った。式典にはバイデン米大統領も出席した。
8月22日、南部・台南市でオートバイの窃盗事件を捜査していた警察官2人が、許可を得て自宅に一時帰宅していた受刑者の男に刃物などで刺され死亡する事件が発生した。男は翌日早朝に北部・新竹市内で逮捕された。事件は社会に衝撃を与えた。
中央銀行は3月17日、政策金利を0.25ポイント引き上げ、1.375%とすることを決定した。2011年7月以来約11年ぶりの利上げで、上げ幅も15年来最大となった。その後、中央銀行は6月16日、9月22日、12月15日にも利上げを発表し、年間累計で0.625ポイント引き上げられた。
米国の利上げの影響で、台湾元は対米ドルで下落し、10月17日には一時1米ドル=32台湾元台の安値をつけた。台湾株式は外資の売り越しが1兆4000億元(約6兆230億円)に上り、2020年と21年の合計を上回った。加権指数は過去最高の1万8619ポイントから5990ポイント下がった。TSMCは最高値の688元(約2960円)から約46%減の370元(約1590円)にまで下落した。国家金融安定基金(国安基金)は7月12日に株式市場への介入を決め、10月21日には金融監督管理委員会が空売りを制限する措置を発表した。
(編集:名切千絵)