(プラハ中央社)チェコのプラハ動物園は10日、繁殖のため台北市立動物園から借り受けていた雌のミミセンザンコウ「潤喉糖」が9日に死んだと発表した。
台北市とプラハ市は2020年に姉妹都市協定を結び、その際に動物園間の協力に関する覚書を締結。これを受けて潤喉糖は雄の「果宝」と22年4月からプラハ動物園で飼育され、翌年には赤ちゃんを出産した。欧州初のセンザンコウの繁殖成功例とされる。24年にも別の赤ちゃんを産んでいる。
プラハ動物園によると、9月末、潤喉糖に食欲不振など健康上の問題が見られ、検査やモニタリングを実施。健康状態の確認などはミミセンザンコウの飼育に豊富な経験のある台北市立動物園の専門家らと連携して進められ、現地を訪問していた台北側の獣医師も治療に加わったという。
10月初旬には一時的に体調が回復したものの、摂食量は増えず、同月中旬には再び不安定な状態に。検査で肝臓に深刻な損傷があることも分かり、予後も期待できなかった。複数回直接胃に給餌するなどしたが、息を引き取った。妊娠はしていなかったという。
プラハ動物園は、潤喉糖は園内でミミセンザンコウの繁殖の基礎を築いただけでなく、チェコ社会にセンザンコウへの理解と保護の意識を高めたとし、園の歴史に特別な動物として名が刻まれたと強調。今後も繁殖への取り組みを続けるとしている。