(基隆中央社)北部・基隆市の八堵駅近くに設置されていた90年以上の歴史を持つ「越智兵五郎」記念碑が、分解された形で路地脇に置かれていることが分かった。市文化観光局は4月30日、記念碑の「歴史建築」登録に関する書類が付近の高校に勤務する教員から提出されたと明らかにした。
記念碑について調査した人のフェイスブックの投稿によると、日本統治時代の1933(昭和8)年2月9日付の「台湾日日新報」に、基隆市内の「金越呉服店」の店主である越智兵五郎が貧困者救済のための資金として八堵駅前の土地約3000坪を市に寄贈したとの記載がある。市は越智の善行に感謝を示すために記念碑を建てたと推測される。
基隆高中(高校)教員の盧さんは4月29日、記念碑がもともと設置された場所から姿を消し、路地脇に置かれていたとしてその写真をフェイスブックに投稿した。
記者が調べたところ、記念碑の設置場所の脇にあるガソリンスタンドでは工事が行われており、工事のために台座と碑石を分解し、路地脇に暫定的に置いたことが分かった。工事終了後に記念碑の処置について改めて検討するという。
市文化観光局によると、記念碑は現時点では文化資産に登録されていない。同局は30日、盧さんからの投書を受けて本人と連絡を取り、盧さんから歴史建築登録に関する書類が提出されたと説明。今後、文化資産としての価値があるかを調査し、初歩的な実地調査で価値があると判断されれば、審査対象のリストに入れるとした。