(台北中央社)横浜市の「よこはま動物園ズーラシア」から台湾への輸送中に死んだマレーバクのひでお(雄・2歳)について、病理解剖を行った台北市立動物園は24日、動物の深部体温が上昇する「ヒートストレス」によって全身の循環不全などが引き起こされたことが死因だとする暫定の結果を発表した。
繁殖のため、台北市立動物園に移される予定だった。ひでおは21日午前にズーラシアを出発。同日夜に台湾に到着した際には、すでに脈拍や呼吸などがなかった。ケージに血痕があった他、頭部の広い面積に摩擦傷ができていたという。同園は23日に専門家や園の獣医による病理解剖を実施。オンラインで日本側や農業部(農業省)動植物防疫検疫署とも意見を交わした。
同園獣医師室の頼燕雪主任は、解剖所見やひでおが園に到着した際の深部体温が41度に達していたことから総合的に考えて、現時点ではヒートストレスにより全身の循環不全や血液凝固障害、肺水腫が引き起こされたのが死因だと推定しているとし、重大な感染症の可能性は排除したと述べた。
同園の広報担当、曹先紹さんは哺乳類の深部体温は通常36~37度だとした上で、ヒートストレスは動物自身の緊張が深部体温を上昇させるものであり、必ずしも外部の温度と関連性があるとは限らないと説明した。ひでおが東京で飛行機に載せられた時の気温は21~22度、飛行機の空調は26度前後だったという。
曹さんは、ひでおにストレスを与えた原因やタイミングについては輸送過程の各段階を日本側と一つ一つ検査する必要があるとし、現時点で確認できたのはひでおが緊張状態によって一定の時間もがき続けたことだと話した。また今回の輸送計画は前例に基づくもので、主に日本側が手配したと言及。今後は同園側も話し合いに参加して共同で輸送計画をさらに完全なものにしたいと述べ、今回の経験を教訓にしていくとの考えを示した。