(台北中央社)立法院院会(国会本会議)で26日、鉱業への管理強化や原住民(先住民)族の権利保障などを盛り込んだ鉱業法の改正案が可決された。蔡英文(さいえいぶん)総統は27日、台湾の持続可能な環境創出に向けた大きな一歩だと喜びを示すとともに、法改正を通じて台湾の美しい環境と原住民集落、鉱業界の3者の均衡状態を再構築できればと期待を寄せた。
同改正案は2017年に提出され、6年余りの話し合いを経て成立した。改正案では、採掘権の期限が来ても原則的にそのまま延長できることや土地所有者の同意がない段階で先に採掘を始められるなど、業者に有利な条文が削除された。また、新たな採掘予定地が原住民族の土地や集落などに近い場合、話し合いを経てその同意を取得することや、環境アセスメントが行われておらず、面積2ヘクタール以上の採掘用地に対し、環境アセスメントの実施や影響の調査を求めることなども明記されている。
同案の可決を受け、与野党の立法委員(国会議員)はそれぞれコメントを発表。与党・民進党の頼瑞隆立法委員は書面で鉱業法改正の背景を振り返った。頼氏は13年に公開されたドキュメンタリー映画「看見台湾」(天空からの招待状)を通じ、台湾の鉱業に対する管理のずさんさが露呈したと言及。17年に行政院(内閣)が関連法の草案を立法院に送ったが、通過できなかったことを回顧している。
同映画は全編空撮で台湾の美しい景色の他、過剰開発や汚染で危機にさらされる自然も赤裸々に映し出されており、観客の問題意識を喚起した。メガホンを取ったチー・ポーリン(齊柏林)監督がその続編の撮影中、不慮の事故で17年に亡くなった。