(台北中央社)南部・台南市で母親と交差点の横断歩道を通行していた3歳の女児が車にひかれて死亡したのを受け、台湾各地で14日、交通安全を求めるデモ行進が行われた。参加者は交通安全の意識向上を呼び掛けた他、政府に対し交通環境整備を訴えた。
北部・台北市では市中心部の交差点に100人以上が集結。黒い服に身を包んだ一行は「歩行者地獄に終止符を」などとスローガンを叫んだ。交通秩序の維持に当たった警察は「歩行者優先」の文字を掲げた。
中部・台中市や南部・高雄市では過去に死亡事故が起きた交差点で実施された。小さな子どもと列に加わった人の姿も見られ、ベビーカーを押して参加した夫婦もいた。3歳と生後4カ月の子どもを連れた母親は、「私たちには安心して道路を渡る権利がある」と強調。道路を横断する度に冷や冷やすると話した。
歩行者の権利保護を目指す高雄市の団体の理事を務める鄭侑青さんは、歩行者の権利に対する共通認識の構築の必要性を訴えるとともに、道路の設計が良くなければ全ての人に被害者か加害者になる可能性があると語った。
3歳の女児が亡くなった台南市の交差点にもデモ隊が集まり、多くの花やおもちゃを供えた。
台湾の交通環境を巡っては、海外メディアに「歩行者地獄」などと指摘され、今月1日から横断歩道で歩行者を優先しない行為に対する取り締まりが台湾全土で強化されていた。
台南市の事故は台湾社会の関心を集め、王国材(おうこくざい)交通部長(交通相)は10日、車の通過と歩行者の横断が同時にならない歩車分離式信号などの導入を求める通達を全国22県市に出したと明らかにした。
(編集:楊千慧)