(台北中央社)台湾人日本兵とその家族、華僑とその子孫らに焦点を当てたドキュメンタリー映画「島から島へ」(由島至島)が、14、21両日に公共テレビ(公視、PTS)で前後編として放送される。マレーシア出身の廖克発監督は、台湾や日本、シンガポール、マレーシア、オーストラリアなどで撮影し、さまざまな民族の視点や記憶から真実を明らかにしたと説明している。
作品は2024年に公開。同年に開催された台湾の映画賞「金馬奨」でドキュメンタリー賞などを獲得した。台湾人日本兵の一部は大戦中、東南アジアで日本軍の手先となり、現地の人々に暴力を加えるなどしたが、戦後は口を閉ざし、真実から目を背けたとされる。作品では世代を超えた対話や日記、映像などを通じて第2次世界大戦の傷跡を掘り起こし、加害者や被害者とする見方を打ち破り、人間の弱さや回避行動を取る姿に目を向けている。
作品の中でインタビューを受けた男性の祖父は、日本軍の通訳となり、マレーシア・ペナンで戦後に開かれた軍事裁判で死刑判決を受けた台湾人戦犯の1人だ。祖父が虐待などの暴力行為をしていたことを指摘する英国軍人捕虜の証言に対し楊さんは、「日本軍の命令でさまざまなことをしたため、村民は(祖父を)恨んでいた」と振り返る。
また大戦時に8歳だったと話すマレー半島の女性は、父親が食事を買いに行ったきり帰って来ず、伯母や赤ん坊は日本軍に虐殺されたと証言し「ずっと心の中に刻まれている」と話している。
両日ともに夜10時から放送。PTSの動画配信サービス「公視+」では15日午前0時から台湾、マレーシア、インドネシア、タイで90日間視聴可能。