(ケンブリッジ中央社)欧州歴訪中の蔡英文(さいえいぶん)前総統は現地時間16日、英ケンブリッジ大学で講演し、台湾は一貫して国際社会の信頼できるパートナーだとした上で、いかなる脅威や脅迫があっても、国際社会に参加し世界に貢献する台湾の決意は揺るがないと語った。
蔡前総統はこの日、台湾出身の科学技術や産業、学術関係者らとの食事会に出席。その後同大地政学研究所で「新世界秩序の中で民主主義を守ること」をテーマに講演した。
蔡前総統は、世界各地で権威主義の脅威がこれまで以上に顕著になっていると指摘。民主国家は新たに生じる不確実性や挑戦に対し、より確固たる姿勢で立ち向かわなければならないと語った。その上で、新たなリーダーの知恵だけでなく、社会全体の協力と取り組みが必要だと述べた。
また「われわれは鍵となる転換点に立っている」とし、民主国家は変化に適応し、集団としての戦略を調整する必要があると訴えた。妥協は権威主義の侵略性や野心を助長するだけだとし、強固かつ団結した民主主義の陣営だけが、民主的な生活や安全保障に対する脅威を抑止できることを歴史の経験が示していると述べた。
トランプ米大統領や米政府が安全保障などの面で民主主義のパートナーに一層の負担を求めていることについては、世界の民主国家に自国の安全を共同で守る必要性があることを認識させたとの見方を示した。また、台湾は強靭(きょうじん)性を共同で強化するパートナーになる準備を整えていると語った。
中国によるサイバー攻撃や軍用機などによる嫌がらせについては、台湾人民はこれらの挑戦を強靱性を鍛える機会だと捉えていると述べた。強靭性は選挙の公正を守り、権威主義による妨害を防いでいるとし、新型コロナウイルス禍の克服や、認知戦の防御にも寄与したとの認識を示した。
地域や世界の安全保障では、台湾は欠かすことのできない存在だと強調。台湾を失えば、中国に対処するために、日米韓などの民主国家はさらに多くのリソースを投入しなければならなくなると語った。