(ビリニュス中央社)バルト3国のリトアニアを訪問した蔡英文(さいえいぶん)前総統は12日、首都ビリニュスのビリニュス大学で講演を行った。民主主義国家が共同で権威主義の拡張に立ち向かい、自由と民主主義を守る重要性を訴えた。
講演は同大の学生のほか、日本の清水信介駐リトアニア大使やエストニアの駐リトアニア大使などが聴講した。
蔡氏は、リトアニアはソ連統治時代に言語や文化の抑圧を受け、台湾は38年間にわたる戒厳令時代に台湾語の使用が学校で禁止されたが、両国の人々は自由を追求する信念を捨てなかったと言及。1989年にエストニアやラトビアと共に行った独立運動のデモ活動「バルトの道」は、当時の台湾の人々を励ましたと述べた。
台湾は今や世界で最も民主的な国家の一つだが、中国からのサイバー攻撃や情報戦、軍事的脅威に直面していると語った。その上で「私たちは小国かもしれないが、敵の脅しに絶対にひるまない」とし、志を共有する欧州のパートナー国との連携を深める重要性を訴えた。
また「民主主義は完璧な制度ではないが、人権と自由を保障する最善の制度だ」とし、台湾は今後も民主主義を守り続けるとともに、リトアニアなどの国とのパートナー関係を深めていくと話した。
講演後には、蔡氏をリトアニアに招待したダリア・グリバウスカイテ前大統領との対談も行われ、地域の安全やウクライナへの援助、情報戦、民主主義の強靱(きょうじん)性などについて意見を交わした。