(台北中央社)行政院院会(閣議)は2日、先月20日に立法院院会(国会本会議)で可決された、違憲審査における表決のハードルを引き上げる憲法訴訟法の改正案について、審議のやり直し(再議)を求める案を決定し、その後頼清徳(らいせいとく)総統も許可した。行政院(内閣)は、ハードルが高くなりすぎて柔軟性を欠いているとし、憲法法廷をまひさせ、五院(行政、立法、司法、考試、監察)分権の原則に違反する恐れがあるなどと問題点を指摘している。
憲法訴訟法を含む三つの法律の改正を巡っては、先月下旬、改正案の強行採決に反対する政権与党で議会第2党の民進党立法委員(国会議員)と野党で議会第1党の国民党立法委員らが激しく衝突。立法院周辺では強行採決に抗議する市民による集会も開かれるなど、混乱が生じていた。
行政院の林明昕政務委員(無任所大臣に相当)は行政院院会後の記者会見で、改正案は憲法法廷の機能を損なうことになると指摘。また移行期の対応に関する条項が定められておらず、現在審理中の案件を処理できなくなり、憲法を巡る争議や重大案件への即時対応ができなくなるなどと懸念を示した。
行政院院会で可決された案は同日、総統府に送られた。総統府の郭雅慧(かくがけい)報道官は、立法院が改正案を可決したことは憲法法廷の機能に大きな影響を与え、違憲審査機能を脅かすと強調。頼総統は、民主主義と自由、憲政体制の秩序を守るため、人民の基本的な救済の権利を保障するとして、再議を許可したと明らかにした。
中華民国憲法追加修正条文では、行政院の再議請求に対し立法院は15日以内に再議を行う必要があり、立法委員総数の2分の1(57人)以上が当初の決議を支持した場合には、行政院長(首相)はこれを受諾しなければならないと定めている。