東部・台東県の離島・蘭嶼で16日、約100年ぶりに建造された20人乗りの伝統的木造船の竣工式が行われた。完成までには2年かかった。今年6月には、先祖がかつて辿ったルートでフィリピン北部のバタン諸島を目指す航海に出発する。
伝統的な木造船は「チヌリクラン」と呼ばれる。10人乗りなどは近年も作られていたが、20人乗りについては伝承が失われており、地域の長老らが経験にのっとって作り方を模索した。かつて、蘭嶼とバタン諸島の間には活発な交流があったが、直近100年余りでは直接航行した記録はないという。
新造された20人乗りのチヌリクラン「黄金宝貝号」は全長約13メートル。船体には金箔の模様もあしらわれた。5月に進水式を行う予定で、六つの集落で各10人、計60人でチームを組んで航海に臨む。