東部・花蓮県寿富郷にある台湾先住民(原住民)族アミ族の集落では、台湾では希少なラッキョウが生産されている。農業部(農業処)花蓮区農業改良場は県内の主要な産地の月眉村で、集落の人々と共にラッキョウの生産量拡大に取り組んでいる。
産地の一つ、上月眉集落の頭目によると、ラッキョウの栽培には酸性で水はけが良い土壌が必要。高齢者の間では、ラッキョウには殺菌効果があり、免疫力増加の助けになると言い伝えられている。旬は1月から3月にかけてで、集落から出て行った人々も帰省の際には必ず食べる「ふるさとの味」になっているという。
農業改良場の楊大吉場長は、ラッキョウは同郷の先住民集落の重要で特色ある農作物だとした上で、近年、天気の影響でラッキョウの管理に問題が起きており、生産が需要に追い付いていないとの声が住民から寄せられたと話した。その上で、同場は農業技術の研究開発に協力したり、健康な球根を選別して集落に提供して栽培を支援したりした他、農会(農協)とも手を組んで種を保存するための畑を作ったと説明した。
また、地域や小学校とも連携してラッキョウに関する「食農教育」を進め、集落の伝統的な農作物や食文化を次の世代に伝承していきたいとした。